母の涙

 クリスマスの少し前、



母の弟、つまり私の叔父が、癌である事が発覚した。



それも、一箇所ではなく、
既に、何箇所かに転移しているらしい。


クリスマス頃から、抗がん剤治療が始まった。


 


息子が、
「ばあば、じいじと喧嘩したから、泣いたんだよ」



と言っていた。



喧嘩などしたとも言っていなかったので、
随分昔の事を、息子が言っているのかと、思った。



次の日、それがじいじとの喧嘩で泣いたわけではない事が、
母の口から告げられた。


 


息子を預けて私が仕事に行っている時に、


父の母の病院へ、息子を連れて行く道で、


車で泣いたのを、息子が私に話した事だったのだ。


 


娘である私が何もしてあげない代わりに、


息子は、母の涙を見てあげてくれたのだと思う。


 


もっと、私が母を想ってあげれば良かったのに・・・


どうやってあげたらいいのだろう。。


 


 


同じ日に、主人の伯父も、癌であるとの電話があったらしい。


 


同じ日に、この病の話を聞いた私達、


これが何を意味し、
ここから何をして、何を学ぶことが必要だろう。